『へうげもの』と古田左介(織部)にとってのキーパーソンの一。
「秀吉」の「真実」とは?
作者はイマジネーションを駆使し、
編集部はない知恵を絞り、あれこれ考え続けている次第です。
蛇足ながらご参考までに、関連書をいくつかご案内します。
桑田忠親『太閤の手紙』(講談社学術文庫)は、
現存する書信から”知られざる”人物像をあぶり出します。
北政所には恋人のようなメッセージを送り、
世嗣の母である淀殿には「ママ」と呼びかける。
封建時代であるにせよ居ながらにして
『火宅の人』やら
『不信のとき』なので、
気の遣いよう、態度の使い分けに、男の多大な苦労が偲ばれます。
戦国史の大家である著者も、どうやら「共感」を寄せている。
稀代の人たらし・秀吉の面目躍如かもしれません。
山田風太郎が
『妖説太閤記』(上下・講談社文庫)で描く秀吉像は、
己の容貌に対する劣等感のかたまり。
ブ男であるがゆえやらせて……もらえない冒頭は実に象徴的です。
上昇志向、権力欲と軌を一にして、女体とセックスを渇望するが、
並外れた漁色家ではあるけれど、男性機能は十全とは言えず、
絶倫と呼ぶにはほど遠い。
この点が作者ならではのキモと言えましょう。

そもそも日本の歴史は、イケメンとだめんずとブサイクの抗争史であった。
のように説くのが、大塚ひかり
『美男の立身、ブ男の逆襲』(文春新書)。
秀吉についても一章が割かれています。
男の嫉妬は怖いと言い、二枚目は時として足許をすくわれる。
信長、勝家、光秀etc.、「敵」はことごとく美男子の部類であったとすれば、
秀吉は劣等感を唯一最大の糧にがんばってがんばってがんばった。
秀吉の驚異的な立身出世と後世に至る人気の源は、
まずなによりも「ブ男」だったからなのか。
話題とは関係ありませんが、連想ゲームでもう一発。
小谷野敦
『もてない男—恋愛論を超えて』(ちくま新書)。
秀吉こそ元始モテない男の太陽、希望の光、大いなる福音……。

以上、現場からお伝えしました。
★このブログへのご意見、ご感想、
作家と作品に関するお問い合わせはこちらからどうぞ!!
★トラックバック&リンク、大歓迎です。
リンクしてくださる際は、事後でけっこうですのでご一報ください。
★週刊モーニングオフィシャルサイト〈e-モーニング〉
【へうげもの】の部屋はこちらです!!