
名もなき職人が実用のためにつくり、
庶民の日常生活の中で使われてきたものこそ美しい。
宗教哲学者・
柳宗悦(1889〜1961)は、日本民藝運動の創始者。
美術品の対極にある雑具に究極の「美」を求めました。
このような思想のもとに、独自の茶の湯を追究。
同時代の茶道はもはや形骸化したものにすぎない、
そもそも千利休から堕落が始まっていたと「排撃」するのが、
本書
『茶と美』です。
おっと、またまた……講談社から。
茶碗においては朝鮮半島で飯茶碗として用いられていたという
喜左衛門井戸を至高とし、
利休と長次郎に始まった
樂焼の「作意」を好まない。
情熱的で鋭い舌鋒には思わず引き込まれますが、
数百年前の利休も柳と同じ考えだったんじゃないか。
そんな気がしないではありません。
柳流茶の湯は、「わび茶」とかなり合致するからです。
この本でいちばん刺激的なのは、
自分の
「眼」でじかに見よ、じかに触れよ、
自分の
「眼」を信じよという点。
由緒正しい名器だからよいなどという先入観を抱いたら、
なにも見えなくなってしまう。
新しい価値は一生発見できない。
大名物、名物は常に自らの
眼より生まれる。
御意御意、
古田左介はいままさにその段階へと至りつつあり〼。
巷でよく見かける
民芸調のインテリアは、
典型的な柳宗悦リスペクトと言えるだろうし、
「無印良品」の発想なども、
「用の美」においては「民藝」なのかなと思わぬではない。
現代的な「わび」「さび」を考えるにも絶好のテキストであり、
われわれ
(作者は除く)のような付け焼き刃とか、
「伝統」に懐疑的な向きには即有効です。
「おまえさあ、茶道はとっくに堕落してるンだよ?」
お茶をやってる異性に暴言を吐くとアウト必至ゆえ。
くれぐれもご注意ください。
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