『へうげもの』には監修者がおりません。
作者・山田芳裕も編集部もいろんな本を読みあさり、
ちぎっては投げ、ちげっては投げ、構想の糧としているワケなんですが、
竹本千鶴
『織豊期の茶会と政治』(思文閣出版)には小躍りしました。
舶来の
「唐物」が足利将軍家の
「御物」となり、
最上級の品が「重宝」と
「名物」に分類され、
やがて権力の衰退とともに「売物」として散逸していく。
室町時代以降の政治と茶(会・器)との密接な関係と、
『へうげもの』がモチーフとしている「物欲」の系譜を、
克明にたどるコトができます。
これまで強制的な召し上げとされていた信長の
「名物狩り」の真相。
信長、秀吉がそれぞれ所持していた、夥しい名物茶器の詳細。
秀吉が新たな「和物」名物を創出していく過程。
歴史のトーシロが文書に直接当たるのは、正直タイヘンなので、
ムチャクチャ参考になるなと、横着なヨロコビに浸りました。
筆者の博士論文をまとめたのが本書だそうです。
熱烈な信長ファンであるがゆえに史学科へ進み、
文化や芸術には造詣が薄いとされてきた信長像を変えたいと、
戦国期の茶の湯研究に打ち込む。
あとがきに記された率直な思いにこそ、むしろ心ひかれます。
一度もお目にかかったコトはありませんが、
妙齢の竹本女史を、歴史学界のへうげものに認定したい。
よけいなお世話でしょうが……かような衝動、賞賛にかられました。
*定価7500円(税別)也。専門書ゆえ、値段はお高いです。
【関連サイト】
☆ebookJAPAN山田芳裕特設ページ
☆週刊モーニングオフィシャルサイト〈e-モーニング〉『へうげもの』
☆モーニング25周年スペシャルサイト
☆Yahoo! JAPANモーニング創刊25周年総力特集
☆同・公式ブログモーニング編集部便り
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