黄金の茶室は「侘び」!
桃山時代の茶の湯に大きな影響を与えた秀吉の
知られざる功績を初めて明らかにする(上掲書・帯より)
「下剋上」とは、
成りあがりの
ビッグ・ウェンズデー。
百年に一度、来るか来ないかの大波に、
最も果敢に挑んだのが、たぶん豊臣秀吉。
山田芳裕曰く
「世界で一番成り上がった男じゃないんすかねえ」と。
被支配層から国家の頂点に上りつめた例は、ほかにないのかもしれません。
ただの成り金趣味で、数奇もわびもまったくわからない人間だった。
他方でそう語られてきた秀吉像に
「それノン!」を唱えるのが、
矢部良明
『茶人 豊臣秀吉』(角川選書)。
たしかに、宗易=利休や古田織部が活躍できたのは、
秀吉の権力と財力ばかりでなく、理解や造詣があったからでしょう。
ここまではまあ、想像がつきます。
”黄金の茶室は「侘び」!”本書のコピーをどうとらえるかが、
男一匹裸一貫の秀吉を解くカギかと思います。
既報のとおり、11月22日発売の52号から、
『へうげもの』は
「黄金」と「わび」にズームイン。
あまりにも自明だが、現代人の気づかないポイントに、山田芳裕は着目。
ヒントは
「照明」と「視覚効果」です。
もともと
「わび人」(=庶民)である秀吉が、
「わび」たものをよしとしていたのかどうか、この点も見逃せません。
それはさておき、
「エンターテイナーとしての茶の湯者 豊臣秀吉」という一章が気になります。
窮屈な茶会ばかりではかなわんと、秀吉は娯楽性に富んだ茶の湯を次々に創作。
その一例が
「醍醐の花見」(1598)にみられる
「茶屋遊び」です。
茶屋は茶室よりカジュアルな空間で、
イロやエロこそないけれど、座興として女性の存在があったりする。
これがのちに色街花街の
お茶屋遊びに発展する……とは書いてないんですが、
ニワトリが先か、タマゴが先か、
男ならではの遊興に、秀吉は大きな影響を及ぼしたとも言えそうです。
ところが、茶屋遊びをコーディネートしたのも、どうやら利休。
いずれが虎か狼か、二人の男の関係にますます謎が深まりました。
【関連サイト】
☆週刊モーニングオフィシャルサイト〈e-モーニング〉『へうげもの』
☆モーニング25周年スペシャルサイト
☆Yahoo! JAPANモーニング創刊25周年総力特集
☆同・公式ブログモーニング編集部便り
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